群馬県立土屋文明記念文学館

130周年

特別館長日記

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深谷にも文明の歌碑

荒川のあふれなかるゝ道を来て静かに秋づく擁月荘にすわる 文明 (大圓寺の歌碑より)

過日、埼玉県深谷市へ行ってきました。
深谷市は今、NHKの大河ドラマ「青天を衝け」の主人公である渋沢栄一の故郷として注目されています。
渋沢栄一記念館、その生地「中の家」は、混雑しているわけではありませんが、平日にもかかわらず、それなりの見学者がいました。
大圓寺という小さなお寺は、家並みが続く深谷町にひっそりとありました。大圓寺には文明先生の歌碑があります。
昭和22年9月17日、山口平八の学塾「擁月荘」を訪れたときの歌です。
山口平八は、地元の青年たちに、政治・経済・芸術などを幅広く教授し、「擁月荘」は多くの著名人を輩出しました。
文明先生は、2日前の15日に関東を襲った「キャサリン台風」であふれた荒川の水がまだ引いていない中、擁月荘を訪れました。
高等女学校教育や大学教育に携わり、文学者としても現実を直視していた文明と山口平八は、おそらく、戦後の日本がどうあるべきか、などについて語り合ったのだろうと思います。
二人が過ごした貴重な時間の記念である、この歌碑は、昭和40年6月25日、山口平八が66歳の誕生日に自宅の庭に建てたものです。後に、山口平八夫妻に対する謝恩の気持ちを込めて近隣の人々が建てた「擁月荘景慕の碑」とともに、山口家の菩提寺「大圓寺」に移されました。
生前、文明先生は、歌碑建立の依頼があると、「あんなものは、犬のしょんべんじょになるだけさ」とほとんどお断りになったそうです。犬の小便はどうかわかりませんが、大圓寺の歌碑には鳥の糞がたくさん付いていました。
「ほら見たことか」と微笑む文明先生のお顔が浮かびました。

 

  

 

 

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